- 子供の近視進行が心配
- 子供の近視を予防できる方法を探している
- 副作用の少ない近視予防法を探している
子供の近視、どんどん進むんじゃないかと、心配ですよね。


眼科勤務10年目、視能訓練士の私が、こんな疑問にお答えします。
まず先に結論からお話しすると、子供の近視を遅らせることは可能です。
その方法は、マイオピンという点眼薬を使うこと。
2年以上継続使用することで、何もしない場合と比べておよそ60%近視の進行を抑制することができると言われているんです!
この記事は、マイオピンの効果と適用年齢、安全性や副作用について書いています。
- マイオピンとは
- 何故小児に近視抑制が重要なのか
- マイオピンの安全性に関して
- マイオピンの効果
- マイオピンの副作用
- 適応となる人
- 点眼回数
- 使用期限
- お値段は・・・?
- マイオピン以外の近視進行予防法は?
- 医療費控除の対象?
- まとめ
- このブログについて
マイオピンとは
マイオピン点眼薬(0.01%アトロピン)は近視の進行を軽減させる目薬のことです。
同薬剤1%アトロピンは以前より近視治療に用いられていましたが、副作用が多く、あまり使用されませんでした。
マイオピンはシンガポール国立眼科センターの研究に基づき開発され、最適な超低濃度のアトロピンを用いることで近視の進行スピードを抑えることができます。
シンガポール国立眼科センターの臨床試験では、近視の抑制効果が証明されています。
近視の進行が完全にストップするわけではありませんが、2年間継続して使用することで、何もしない場合と比べおよそ60%近視の進行を抑制できます。
日本でも7大学(旭川医科大学、大阪大学、川崎医科大学、京都府立医科大学、慶応大学、筑波大学、日本医科大学)で臨床研究が始まっています。
マイオピンは海外で作られた点眼薬を輸入してお渡ししていますので、自由診療(保険外)となります。
何故小児に近視抑制が重要なのか
小児の近視は、上記の図のように眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピントの位置がずれることによって、生じるケースが多くあります。
近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと二度と戻りません。そのため眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するために重要となります。
ー6D以上の近視の場合、緑内障や網膜剥離などの失明につながる眼病を発症する可能性が高く、WHOが強度近視を『失明原因の5大疾患』として指定しています。
小児のうちに近視の進行を遅らせて、強度の近視とならないように予防することがとても重要です。
マイオピンの安全性に関して
シンガポール国立眼科センター(SNEC)のマイオピン(アトロ0.01%)点眼薬を2年間継続した研究結果の安全性については、以下の報告がありました。
- アレルギー性結膜炎及び皮膚炎の報告はありませんでした。
- 眼圧に影響を与えないとの報告でした。
- 白内障を形成するとの報告はありませんでした。
- 点眼終了後も目の遠近調節機能の低下、また瞳孔がひらき続けてしまうという報告はありませんでした。
- 電気生理学上、網膜機能に影響を与えるという報告はありませんでした。
結果、重篤な副作用は皆無であり、自由診療ながら日本では多くの眼科医療機関にて取り扱われています。
マイオピンの効果
マイオピンを点眼することで、近視の進行速度が約60%になり、メガネの度の進行を遅らせます。
近視が治ったり、進行が止まるわけではありません。
近視は成長に伴い進みます(メガネの度が進みます)ので、その点は治療前に理解しておく必要があります。
通常よりも近視の進み具合が緩やかになると思ってもらえるといいと思います。

また、1度開始すると効果がしっかり分かるまでに2年間以上の使用が必須となります。
管理人の勤務先でも、治療を始めて半年ほどで来なくなってしまう患者さんが時々いらっしゃるのですが、費用もかかる治療なので、一度開始したら継続できるよう決意をもって治療に臨む必要があります。
毎日点眼するのも、根気がいる作業ですので、お子さんの協力も不可欠です。

マイオピンの副作用
アトロピンは瞳孔を広げ、調節(近くを見ること)を麻痺させる効果のあるので、超低濃度のマイオピンでも6-7時間は見えにくく感じます。
寝る前に点眼するので、起床時に見えにくさが残っている場合はあります。
まれに結膜炎、眼瞼炎を起こすことがありますので、目が赤くなるようならすぐ通院中の眼科医療機関を受診して下さい。
アトロピン自体には以下のようなものが知られています。
発熱、口がかわく、はきけ、顔が赤くなる、頭痛、動悸など。
ただし、超低濃度のため、マイオピン使用による上記の全身的な副作用は皆無です。
適応となる人
主に6才から12才の軽度~中等度以下(基本的にはー0.50D~-6.00Dまで)の近視の方が対象です。
12歳くらいまでの患者さんは、治療することで効果が期待できます。
しかし、20歳くらいまでは近視は進行するので、13歳以上の場合であっても、20歳くらいまでの方は点眼継続する意味があると思われます。
13歳以上の場合には、対象眼科医療機関受診後、医師と相談の上治療の可否を決めることとなります。
近視は遺伝的な要因もあり、両親が近視の方は特に有用です。
点眼回数
1日1回就寝前点眼してください。
使用期限
容器に記載されています。未開封の場合には、2~3年ほど使用できます。
封を開けたら1か月で新しい瓶に代えて下さい。(細菌感染予防のため)
1日1回の使用で、約1か月で使い切れるようになっています。
目薬の使用期限ついては、こちらで詳しく解説しています。
お値段は・・・?
マイオピン治療は自由診療のため、施設ごとに値段が異なります。
(※自由診療とは・・・公的医療保険が適用されない診療のこと。診療を行う人と、医療機関との間で自由に個別契約を行い、その契約に基づいて値段決定や診療を行うことができる)
詳しくはお近くの対象眼科医療機関にお問い合わせください。

〇初回診察時(マイオピン1本含む)
:10000円
〇点眼一週間後(マイオピン1本含む)
:5000円
〇定期検査(マイオピン3本含む)
:10000円
〇薬のみ(3本まで)
: 1本3000円(税込)
屈折値や眼軸長の経年変化をみるために、基本的には3か月に一度の来院をお願いしています。
マイオピン以外の近視進行予防法は?
小児の近視抑制の治療法として、オルソケラトロジーという治療法もあります。
オルソケラトロジーに関しての記事はこちらにまとめています。
check!!▶【解説】オルソケラトロジー。効果と適用年齢、安全性や副作用は?
ちなみに、マイオピンとオルソケラトロジーは併用可能です。
医療費控除の対象?
マイオピン治療は、眼鏡やコンタクトレンズのように視力矯正ではなく、治療扱いとなるため、医療費控除の申請対象となっています。
※必ず領収書をもらって保管してください
まとめ
ここまで、マイオピンについて解説しました。
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
- 2年の継続使用でおよそ60%近視の進行を抑制することができる
- 対象は6~12歳までの中等度近視がある人
- 自由診療のため施設ごとに値段が異なる
- 副作用が少なく、気軽に始められる
- マイオピンとオルソケラトロジーは併用可

このブログについて
このブログは、視能訓練士ママブロガーのぱんだこが、子育てで役に立った情報、目に関するマ目知識を中心に発信するブログです。
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