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【小児の近視進行予防にはオルソケラトロジー】効果や適用年齢は?医療費控除はできる?

【最終更新日:2019年4月20日】

 

こんにちは。

視能訓練士でワーキングマザーのぱんだこ(id:hareruyatan)です(*´*)

 

さて、前回、小児の近視進行予防についてマイオピン点眼薬の記事を書きました。

過去記事はこちら↓

 



www.hareruyatan.work

 

 

小児の近視進行予防には、もうひとつオルソケラトロジーという方法がありますので、

今回はオルソケラトロジーについて書きたいと思います。

 

 

・両親が近視なので子供の近視進行が心配

・今現在近視で眼鏡やコンタクトを使用しているが度の進行を遅らせたい

・副作用が少なく近視進行を予防できる方法を探している

・少しでも近視抑制効果があるなら使用してみたい

 

 

というお子さんにとてもおすすめです。

近視進行を少しでも遅らせたいお子さんをお持ちのパパ、ママの参考になれば嬉しいです。

 

 

オルソケラトロジーとは

 

専用のコンタクトレンズを就寝時に装用することで角膜形状を矯正し、

日中裸眼で生活できる視力矯正用のコンタクトレンズのことです。

就寝前オルソケラトロジーレンズを7時間以上挿入し、朝外すという作業が毎日必要になります。

 

オルソケラトロジーの安全性について

 

2012年11月10日に行われた九州山口屈折矯正手術研究会にて、日本国内での15歳以下のオルソケラトロジー使用に関する有効性、安全性が非常に高いことが筑波大学研究チームより報告されています。

 

報告によると、自覚屈折値と裸眼視力は治療翌日から改善していき、2週目以降で完全に安定します。その上眼圧、角膜厚、角膜内皮など眼球自体に変化はなく、成人と未成年者との間でも大きな差はありませんでした。

また、オルソケラトロジーは中止すれば2週間で完全に元の状態に戻り、角膜厚や内皮細胞などの眼球自体の構造や、高次収差視機能などにも一切影響を残すことがない事が確認されました。つまり、オルソケラトロジーは非常に安全性が高く、有効であることが証明されました。

オルソケラトロジーが小児の眼軸長を伸長を抑制し、近視の進行を予防することはアメリカなど海外のデータでも証明されています。

 

何故小児に近視抑制が重要なのか

 

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小児の近視は、上記の図のように眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピントの位置がずれることによって生じるケースが多くあります。

近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと二度と戻りません。そのため眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するために重要となります。

 

ー6D以上の近視の場合、緑内障や網膜剥離などの失明につながる眼病を発症する可能性が高く、WHOが強度近視を『失明原因の5大疾患』として指定しています。

小児のうちに近視の進行を遅らせて、強度の近視とならないように予防することがとても重要です。

 

オルソケラトロジーレンズのしくみ

  • オルソケラトロジーのしくみ1

    近視の状態

    近視とは、光学的に網膜の手前でピントが合った状態です。

  • オルソケラトロジーのしくみ2

    レンズ装用時の変化

    オルソケラトロジーレンズを装用する事によって、角膜の形が変化し、ピントが網膜上に移動します。

  • オルソケラトロジーのしくみ3

    矯正後の状態

    オルソケラトロジーレンズを外しても角膜形状が変化している間は網膜上でピントが合い、裸眼で過ごせます。

 

※オルソケラトロジーレンズは、中央が扁平で周辺が急な通常と逆のコンタクトレンズ後面の構造を持つレンズを夜間装用することで、角膜中央部を扁平に変形させることによって近視を矯正をしています。

 

オルソケラトロジーの治療スケジュール

 

①初回検査

適用となるかどうかの検査を行います。保険診療内で可能。この日は自費料金は発生しません。

②レンズトライアル・処方レンズ発注⇒商品到着後再度来院していただきます。

③2週間の試用期間⇒使ってみてよさそうだったら購入してもらいます。

④定期検査

装用開始1週間、2週間、1ヶ月後、3ヶ月後、以降は3ヶ月毎に来院していただき、状態の確認、必要な検査をして経過観察をします。

 

 

 

適用年齢は?

 

5~65歳くらいまで。

ただし、海外では、小学生~装用されているケースが一般的です。

日本でも大学病院での臨床研究において、有意な危険性がなかったことより、小児(5~16歳くらいまで)の方に治療を行うことも多くなってきました。

 

日本では以前、オルソケラトロジーは20歳以上を適用年齢というガイドラインが設けられていましたが、実際治療を行っている患者さんは小児が多いことや、20歳以上ではレーシック手術による屈折矯正が主流なことから、2016年7月にガイドラインが変更となり、小児のオルソケラトロジー治療も認可されました。

 

ちなみに私の勤務する病院では、今現在オルソケラトロジーを行っている患者さんは9割以上が小児の患者さんです。

20歳を過ぎればレーシックなどの屈折矯正手術が可能であることから、大人の患者さんは少ないのかもしれません・・・

小児のオルソケラトロジー治療を希望する患者さんは多くが近視で、近視進行予防効果を期待しての使用となっています。

 

適用対象について

 

-6,00D以下の近視の方が対象となります。

また、角膜形状や眼疾患によって適用とならない場合もあるため、適用になるかどうかは検査の上で決定となります。

 

オルソケラトロジーは、使用を中止すると約2週間で元に戻るため、治療を開始する場合には継続して夜間にオルソケラトロジーレンズを使用できることが絶対条件となります。

 

 

 

どんな人におすすめ?

 

〇レーシック等の手術に抵抗がある人

 

手術への不安や術後の感染症等がこわいという方にはオルソケラトロジーがおすすめです。オルソケラトロジーは、毎日使用したとしてもやめれば元に戻ります。

 

〇眼鏡やコンタクトの装用が面倒な人

 

日中の眼鏡が面倒な方や、コンタクトレンズがずれやすい、ごろごろして不快感がある方は、オルソケラトロジーにすることで日中の不快感から解放されます。

 

〇裸眼でスポーツをやりたい人

 

水泳や野球、サッカーなどのスポーツを裸眼で思い切り楽しみたい方に人気があります。

 

〇小児の場合には近視進行予防効果があるため小児のお子さん

 

小児のお子さんでは、近視抑制効果が期待できます。

使用することで、使用しなかった場合よりも約50%近視進行を抑えることができることが臨床研究により証明されています。

 

副作用はある?

 

〇夜間にオルソケラトロジーレンズを使用することで、通常のハードコンタクトレンズと同様の異物感、角膜の傷、長期間の装用で角膜内皮細胞の減少などが起こる可能性があります。(ただし、これまでの研究データではオルソケラトロジーレンズ使用による眼障害はほとんど報告されておらず、むしろオルソケラトロジーは安全な医師のコントロールの下で使用されるために、通常のコンタクトレンズと比べても眼障害は圧倒的に少ないとされています。)

〇治療開始から2週間程度は視力が安定せず、見え方に変動が見られます。

 

マイオピン点眼薬同様、使用による大きな副作用は皆無と言われています。

 

お値段は?

 

自由診療のため、オルソケラトロジー治療を実施している眼科医療機関ごとに値段が異なります。

 

参考までに、私の勤務する病院では

 

6ヶ月までの定期検査費用、ヒアロンサン点眼、スポイト費用等込みで

両眼 17万円(開始後、6週間以内に中止する場合には、5千円+税以外は返金)で治療を行っています。

 

また、この金額に保証として

〇6ヶ月までの度数交換1回無料

〇12ヶ月までの破損交換1回無料

〇再処方 1枚4万円(レンズの汚れ・劣化や度数変更など)も含まれています。

 

この料金は最初の1年目にかかる費用です。

その後、1年ごとに継続契約という形となり、継続する場合には年間で両眼3万円が必要となります。(取り扱いレンズによってもお値段大きく異なるようです・・・)

 

オルソケラトロジー治療には経過通院が必ず必要となりますので、

使用後は医師の指示に従いきちんと装用、通院することがとても大切です。

 

 

 

 

 

小児のオルソケラトロジー治療はいつまでやるの?

 

小児の場合、オルソケラトロジーは永久に続けるものではありません。

 

近視抑制効果を期待して治療を行うため、通常は20歳になった時点でレーシックによる屈折矯正手術をおこなうか、あるいは通常のコンタクトレンズか眼鏡に変えるなどを提案しています。

(もちろんそのまま使用し続けてもいいのですが、20歳以上になるとレーシック手術適用となることや、今後も継続で年間料金がかかることを踏まえて患者さん自身に判断していただいています。)

 

マイオピン点眼薬とどっちがいいの?

 

個人的には費用面やお子様への負担を考えるとマイオピン点眼薬の方がおすすめです。

(あくまで個人の意見ですが・・・)

 

ただし、オルソケラトロジーとマイオピン点眼薬は併用も可能です。

私の勤務する病院では、約3割の患者さんが併用しています。

(病院によっては併用することによる割引もあるみたいですがうちの病院では割引はありません・・・)

 

 

医療費控除の対象?

 

オルソケラトロジー治療は、眼鏡やコンタクトレンズのように視力矯正ではなく、

治療扱いとなるため、医療費控除の申請対象となっています。

(必ず領収書をもらって保管してください)

 

 

【参考文献】

・視能学 第2版 文光堂 丸尾敏夫ら P145~163

・眼科ケア 2016 vol.18 MCメディカ出版 P47~52

【参考HP】

http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/orthokeratology_2edition.jsp

 日本眼科学会

 

終わりに

 

現在の医学で小児の近視進行を大幅に遅らせることができる方法は、オルソケラトロジーと、マイオピン点眼薬しかありません。

 

そのため、小児で近視がある方は検討していただくと将来的にいいんじゃないかな~、と個人的には思いますし、特に手軽に開始できるマイオピン点眼薬はおすすめしたいです。

 

眼の屈折は20歳くらいまでは進むと言われていますので、

ご興味のある方は是非検討してみてください。

 

 

それと最後に、前回のマイオピンの記事を書いた際、仮性近視について書いてくださった方がいました。(ありがとうございます☆)

仮性近視の治療にはミドリンM点眼薬という目薬を就寝前に使用し経過を見ていくのですが、今回紹介した2つとは目薬の使用目的が異なるので、また次回以降記事にできたらと思います。

 

 

最後までお読みいただき有難うございました。

   

 

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