この記事は、子供の心因性視力障害について書いています。
- 心因性視力障害の症状、原因、治療法
- 心因性視力障害の検査方法
心因性視力障害とは
心因性視力障害とは、目の心身症のひとつで、主に児童期に発症する病気のことです。
健康診断、学校検診で再検査になって眼科を受診するお子さんのおよそ2割は、
心因性視力障害と言われています。
主な症状
視力低下の訴えが、主な症状です。
視力は0.4~0.6程度の比較的軽度の視力低下となる事が多く、このうち半数は本人が見えないことに気づいていません。
学校の定期健康診断で見つかります。
発症年齢は?
主に8~12歳くらいの小学生の子供にみられます。
男女差があり、女子は男子の約4倍多くみられます。
原因は?
心因性視力障害を引き起こしている一番の原因はストレスによるものですが、
ストレスの根本的な原因が明らかになるのは約6割です。
最近では、普通に見ても心因性とは思えないようなささいなことが原因となって視力低下が起こる場合もあります。
この場合は、思春期前期の心理的に不安定な状態によって視力障害が引き起こされると考えられています。
心理的な不安定さの元をたどると、多くが家庭内の問題や学校関係のトラブルに行きつきます。
例えば家庭内では「肉親の死」、「両親の不仲」「親の過干渉」「塾やおけいこごとの負担」などが挙げられます。
学校関係では、「クラス担任がかわった」「クラス替え」「友人関係」「部活」などが挙げられます。
また、友人や先生、親が眼鏡をかけていて、眼鏡にあこがれることもあります。
この眼鏡願望では、裸眼では視力が悪くても、度のない眼鏡では1.0まで見える子もいます。
そのほか、試験になると答案が見えなくなる、ピアノの楽譜が見えない、算数の時間には黒板の文字が読めないなど、時と場所によって見えなくなることもあり、症状は様々です。
検査をしても再現性がない
心因性視力障害の場合、視力が悪いにも関わらず、検査をしても眼球自体の異常は見つかりません。
また、視神経や電気生理学的な検査をしても異常は見つかりません。
視野検査や視力検査をしても測定のたびに結果が違っていたり、プレーンレンズといって度の入っていないレンズを入れてるのに視力が向上したりします。
どんな検査をする?
心因性視力障害のお子さんの場合、通常子供に行う検査をしても良好な視力を出すことが出来ません。
その為、以下のような検査をします。
トリック法
度数の入っていないレンズ(プレーンレンズ)を入れて見て視力がでるか、何枚かのレンズを掛け合わせて度数が±0になるレンズにして視力が向上するかどうかを検査する方法です。
患者さんにばれないように、あたかも度の入ったレンズを入れているかのように上手く検査する必要があります。
近見視力検査
近見30センチの視力を測定します。
子供の場合、調節力といって目のピント合わせの力が強いため、近見の視力障害の訴えが出るとは考えづらく、遠くの視力が低下していても近くの視力は良好であるはずです。
しかし、心因性視力障害の場合、手元の視力も低下することがあります。
視野検査
心因性視力障害に伴う症状に、視野の障害が挙げられます。
視野が極端に狭くなる求心性視野狭窄や、視野を測定している間にどんどん見える範囲が狭くなる螺旋状視野が見られることがよくあります。
散瞳検査
視力が良好でない場合、過剰な調節がかかっていないかを調べる必要があります。
散瞳薬といって目のピント調節の力をとる目薬を使用し、お子さんの本来の目の屈折度数を確認します。
この検査をして、散瞳薬使用前と目の屈折に変化が見られない場合には、心因性視力障害であるといえるよ
眼底写真撮影検査
心因性視力障害の場合には、眼球自体に異常は見られません。
眼底写真撮影を行い、眼底に異常がないかを確認します。
このような検査方法を組み合わせて検査を行います。
治療法は?
子供の心因性視力障害の治療は、親子一緒に診察を受けることです。
眼科的には異常がないので、必ず良くなるため、心配いりません。
ストレスの原因を取り除くことが大切ですが、簡単には解決できないことも多く、学校担任の先生と連絡を取りながら長期的に経過を見ることが必要です。
心因性視力障害は、子供のある時期におこる一時的な現象です。
具体的な治療法としては、
- 定期的な経過観察、検査
- 眼鏡願望が強い子供には度の入っていない眼鏡を一時的に処方
という方法をとります。
心因性視力障害の予後
心因性視力障害の予後は良好です。
症状が発見されてから1年以内に視力が改善するものがほとんどです。
特に小学生では暗示療法が有効で、3か月以内に70~80%の子供が視力1.0まで回復します。
しかし中学生になると、心因が複雑なものが多くなり、治療が難しい場合もあります。
治療が困難な場合や1年以上視力の回復傾向がみられない場合には、小児科の心身症担当医や精神科の受診が必要なこともあります。
まとめ
ここまで、子供の心因性視力障害について解説しました。
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
- 心因性視力障害の原因はストレス
- 主な症状は視力の低下
- 眼科で詳しい検査ができる
- 治療法は経過観察、一時的な眼鏡の処方
- ほとんどが1年以内に回復する
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