- 仮性近視になる原因
- 仮性近視の検査方法
- 仮性近視の治療法と効果の実際
この記事では、子供に多い仮性近視について書いています。
眼科勤務10年目、視能訓練士の私が、こんな疑問にお答えします!
仮性近視とは
仮の言葉からも分かるように、本当の近視ではなく、目の調節によって起こる一時的な近視の状態のことをいいます。
仮性近視の場合でも、放置しておくとそのまま近視に進行するケースもあります。
8歳くらいまでの、小学校低学年の子供に多く、低年齢ほど仮性近視になりやすいと言われていて、年齢が上がるにつ入れて仮性近視の確率は下がります。
近視は調節緊張ともいわれています。
見え方としては0.7~0.8くらいの見え方の場合に仮性近視を疑います。
仮性近視になる原因
眼には、ピントを合わせるために光の屈折を調節する機能が備わっています。
この眼の機能の中で特に大切なのが、レンズである水晶体を動かし厚さを調節する毛様体筋とよばれる筋肉です。
水晶体は弾力があるため、伸びたり縮んだりして遠くのものや近くのものにピントを合わせることが出来ます。
仮性近視は、毛様体筋が一時的に低下してしまったことによって水晶体の調節が上手にできなくなってしまったことが原因でおきます。
本を読んだり、スマートフォン、パソコン、ゲームなど、目を動かすことなく長時間同じところを見続ける状態が続くと、毛様体筋緊張状態となってしまい、調節する機能が低下してしまいます。
仮性近視の検査方法は?
散瞳薬という動向を広げる目薬を使用し、調節ができないようにします。
その状態で屈折値を測定し、調節ができる状態での屈折値との比較をします。
散瞳薬使用後に調べた屈折値と、使用前に調べた屈折値に変化がなければ、
仮性近視ではありません。
変化があれば、仮性近視と診断します。(変化がある=余計な調節がかかってしまっている)
ただし、生理的に少し(一般的にー0.25Dほど)は調節がかかると言われているため、
検査結果は生理的調節分を考慮したうえで判断しています。
※この検査で使用する散瞳薬は、効果が5~6時間ほど持続します。
そのため、ピントを合わすことが出来ず、ぼんやりした見え方が半日ほど続くので、
なるべく次の日に予定のない日に検査するのがおすすめです。
管理人の勤務する病院では、金曜日や土曜日など、次の日が休みの日に検査を勧めています。
治療法は?
仮性近視の主な治療法は、2つあります。
- 点眼薬治療
- ワック
順番に詳しく説明していきますね。
点眼薬治療
ミドリンM点眼薬と呼ばれる調節を麻痺させる点眼薬を使用します。
この目薬には、調節緊張を緩和させる効果があります。
ただ、副作用として瞳孔が5~6時間ひらっきぱなしになってしまうため、
日中は使用できません。
1日1回寝る前に点眼し、1か月経過後再度眼科を受診、検査をして前回の検査結果との比較をします。
ミドリンM点眼薬の基本情報
作用と効果 副交感神経支配の筋肉に作用し目の緊張を緩和させることによって、散瞳させたり、ピント調節を司る筋肉を休ませたりします。
通常、虹彩炎などの目の中の炎症の治療や、ピント調節の改善に用いられます。また、眼底検査や屈折検査などにも用いられます。使用上の注意 以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。緑内障、狭隅角や浅前房などの眼圧上昇の素因がある。コンタクトレンズを使っている。妊娠または授乳中他に薬などを使っている(お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もありますので、他に使用中の一般用医薬品や食品も含めて注意してください)。副作用副作用として、眼瞼炎(まぶたのただれ・発赤・腫れ)、かゆみ、発疹、じんま疹、眼圧上昇(眼痛、見えにくい、頭痛)、結膜炎(結膜充血・腫れ)、眼刺激などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。
このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。該当する記載事項はありません。以上の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。
‐https://www.qlife.jp/meds/rx9145.html より引用。
ワック
検査機械を両目で覗くと遠近感のある写真が近づいたり遠ざかったりします。
これを1回5分間見ているだけで毛様体筋が縮んだり緩んだりして、目の緊張をとる効果が期待できます。
望遠訓練ともいわれています。
※ワックは、眼科によっては機械がない場合があるため、治療希望の場合には事前に問い合わせをお願いします。
保険診療でできる?
仮性近視の治療は保険診療の対象です。
そのため、保険診療分以外の料金は発生しません。
市区町村によっては子供の医療費は無料だったり、非常にお安くなってますよね。
保険診療対象なので、どんなにかかっても3割負担までです。
心配な方は一度試してみてもいいかもしれません。
対象年齢は何歳くらいまで?
対象年齢としては、3歳~9歳くらいまでです。
子供の目の感受性期は8~9歳までといわれていて、この時期を過ぎてから治療してもあまり効果が期待できません。
この時期を過ぎて近視のデータがでる場合には、仮性近視ではなく、本当の近視ですので、眼鏡やコンタクト、近視抑制予防の治療が必要になります。
実際効果はある?
正直、効果がでたことがある子をほとんど見たことがありません。
ミドリンMもワックも、ある程度は調節の働きを緩和させる効果が期待できるのかもしれませんが、劇的に改善する、ということは難しいかもしれません。
また、ミドリンMもワックも本当の近視に対しては効果がありません。
私は視能訓練士として働いて今年で10年目になりますが、仮性近視の治療をしても効果がなく、やっぱり本当の近視だったんだね、では眼鏡を作りましょう。というパターンがほぼ100%です。
他の病院に勤務する視能訓練士から話を聞いても同様です。
なのでもし治療を希望する際は、一応試して、2~3か月試して効果がなければ眼鏡処方やマイオピン点眼、オルソケラトロジーなどを検討されるのが現実的かと思います。
初めて近視を指摘されて、いきなり眼鏡を作るのはちょっと抵抗があるという方は、2~3か月程度試してみる方も多いです。
※あくまで個人の意見です。
本当の近視になってしまったら
近視の程度によっては眼鏡装用やコンタクトレンズの適用となります。
眼鏡やコンタクトレンズ装用以外にも、小児の近視抑制予防効果のあるマイオピン点眼薬、オルソケラトロジーという治療方法もあります。
マイオピン点眼薬治療についてはこちらにまとめています。
check!!▶【解説】マイオピン点眼薬。効果と適用年齢、安全性や副作用は?
オルソケラトロジーについては、こちらにまとめています。
check!!▶【解説】オルソケラトロジー。効果と適用年齢、安全性や副作用は?
まとめ
ここまで、仮性近視について解説しました。
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
- 仮性近視とは、目の調節によって起こる一時的な近視状態のこと
- 低年齢ほど仮性近視になりやすい
- 仮性近視の治療には点眼治療とワックの2種類がある
- 治療の劇的な変化は期待できない
このブログについて
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