こんにちは。
視能訓練士でワーキングマザーのぱんだこ(id:hareruyatan)です(*´▽`*)
皆さん、子供の目の検査で、調節麻痺検査を行ったことはありませんか?
子供の目の精密検査では、必要に応じて調節麻痺薬(散瞳薬)を使用することがあります。
なぜ子供の目の精密検査で調節麻痺薬(散瞳薬)を使用するのか、その理由をまとめました。
斜視や弱視の治療をされている方、遠視治療中の方、これから初めて眼鏡作成予定の方の参考になればうれしいです。
何故子供の目の精密検査に調節麻痺薬が必要なの?
人がものを見ようとするときには、目の中の筋肉が緊張してレンズの厚さを増し、ピントを合わせます。
この働きを調節といいます。
目の屈折度(遠視・近視・乱視の度)は、調節を休ませた状態で決められます。
ところが子供の場合、調節を休ませることが充分に出来ないので、普通の方法で検査をしても正確なことはわかりません。
子供で屈折の検査をする場合には、調節を休ませる目薬を点眼したうえで検査をしないと意味がないことになります。
この精密検査を怠ったために、実は遠視であるの弱視とか近視と誤診をされたり、度の合わない眼鏡をかけている子もまれではないのです。
そのため子供で視力が悪い場合や斜視の場合には、この目薬を点眼して検査をする必要があります。
目薬をすることによっておこる目の変化
調節麻痺薬を使用することで起こる副作用についてまとめました。
1)ものを見ようとしてもピントが合わせにくくなり、特に近くが見にくくなります。
2)瞳孔(ひとみ)が大きくなり、光が当たるとまぶしくなります。これらの変化は一時的なもので、作用時間が過ぎると元に戻ります。
3)目の充血、かゆみをおこすことがあります。
4)乳児や小児では眼頭にある涙の穴から目薬が入り、体に吸収されると顔が赤くなることがあります。
小児で使用する調節麻痺薬の種類
調節麻痺薬には、
①日点アトロピン点眼薬1%
②サイプレジン点眼薬1%
③ミドリンM点眼薬0.4%
の主に3種類があります。
小児の場合、子供の目の状態に合わせて使用する目薬を決定します。
①日点アトロピン点眼薬1%(アトロピン硫酸塩)
一番調節をとる効果の強い薬です。
自宅で1日1~2滴、1日2~3回の点眼を7日間続けてもらってから屈折検査を行います。
8歳以下で内斜視や遠視、強い不同視が疑われる場合など、調節を最大限に休ませたい時に使用します。
薬の持続期間が長いため、慎重に処方されます。また、検査後は薬は自宅にてすぐに破棄してもらう必要があります。
②サイプレジン1%点眼液(シクロペントラート硫酸塩)
5~10分おきに2~3回点眼し、最初の点眼から1時間後に屈折検査を行います。
アトロピンよりは効果が弱いものの、しっかりと調節を休ませることができるため、斜視が疑われる場合、弱視など視力が出づらい場合、調節がかかっていることが予想されるお子さんにはよく使用されます。
③ミドリンM点眼液0.4%(トロピカミド)
5~10分おきに2~3回点眼し、30分後に検査を行います。
3種類の中では一番効き目の弱い薬のため、初めて眼鏡を作るときや念のため調節を休ませた状態の屈折を確認したい時などに使用します。
大人の眼底検査(散瞳検査)でも使用されるメジャーな調節麻痺薬です。
目薬の効き目の強さは
アトロピンくサイプレジンくミドリンM
の順番です。
調節麻痺薬の作用時間について
調節麻痺薬を使用すると、瞳孔(黒目の部分)が大きく開き、元に戻るまでは時間がかかります。
効き目が強いものほど効き目の持続時間が長く、元に戻るまで時間がかかります。
①日点アトロピン点眼薬1%点眼液(アトロピン硫酸塩)
点眼後5~7日間
②サイプレジン1%点眼液(シクロペントラート硫酸塩)
点眼後1~2日間
③ミドリンM点眼液0.4%(トロピカミド)
点眼後5~6時間
薬の効き目が切れるまで長いアトロピン点眼薬などを使用しての検査は、基本的には夏休みや冬休みなど、学校生活に支障が出にくい時期に行うことが多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、子供の詳しい屈折検査に調節を休ませる目薬の使用が必要な理由を紹介しました。
眼科で子供の検査をされる際は参考にしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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