こんにちは。
視能訓練士ママ、ぱんだこです。
今回は眼圧検査のお話。
眼科で検査をした時や健康診断でやる、
あのプシュッと風が当たる検査です。
前回の記事に、眼圧検査についても知りたいと言ってくださった方がいらして
(ありがとうございます。うれしいです!!!)書いてみました。
前回の記事はこちら↓
眼圧検査とは
眼圧とは『眼球内の圧』→『目の硬さ』のことです。
正常範囲は10~20mmHgです。
ただ、眼圧の程度には大きな個人差があり、人によって眼圧の正常値は大きく異なります。
その人の目の状態、構造によって、正常値が異なるため、一般的な正常範囲内に入っている場合でも、安心とは言えないのです。
自身の正常値を知るためには、きちんとした検査が必要になります。
眼圧の値が高すぎると、視神経が障害されて緑内障となる危険があります。
緑内障、高眼圧症の主な治療は眼圧を下げることですが、その効果を調べるうえで、この眼圧検査がとっても重要になってきます。
緑内障、高眼圧症の場合、薬の使用でどの程度眼圧が下がったかは大変重要です。
下がってなければ薬を変更しなければなりませんし、いい値をキープできていればそのまま同じものを使用し続けます。
特に緑内障においては、薬を使用し始めたら一生使用し続けなければなりません。使用することで視神経の障害の速度を大きく遅らせることができます。
緑内障で視神経が障害されると、視野が欠けます。そして、視野の欠けた部分は元には戻りません。自覚症状がないので(視野は緑内障初期、中期では自覚症状がほとんどなく、大きく障害されてから来院されることもいまれではない)定期的な眼圧のチェック、その他の検査が重要なのです。
他に、ステロイド薬使用による薬の副作用で眼圧が上昇していないか確認するために使用することもあります。
眼圧の基礎知識
眼圧は、高齢者が若年者よりも高く、女性が男性よりもやや高くなっています。
眼圧を変動させる因子として、閉眼、呼吸を止める、頭位を低くする、突発的な精神的興奮などがあります。
眼圧は体位によっても変化し、座位に比べ仰坐位では約2mmHg高くなることが知られています。
体外因子としては、薬物による眼圧の上昇が知られており、なかでも副腎皮質ステロイド薬の内服や点眼による眼圧の増加(ステロイド緑内障)は、副腎皮質ステロイド薬を使用するうえでもっとも注意が必要な副作用と言われています。
日内変動とは
眼圧は、測定時間や季節的な変化で値がやや変動し、このことを日内変動と言います。
同一の人でも、薬3mmHg前後の日内変動が認められ、特に早朝でもっとも高いことが知られています。
また、睡眠中の眼圧は、房水の産生減少に伴い低下します。
この日内変動のほかにも、±1.5mmHgの変動が心周期によって認められています。
そのため、1,2回の測定結果ではその人の正しい測定結果を評価することはできません。
治療を行っている場合には継続的、定期的に眼圧検査を行うことが大切です。
また、毎回できれば同じ時間帯に測定することが望ましいです。
私が勤務する眼科でも、緑内障の患者さんには、できれば毎回同じような時間帯に来院していただくようお声がけしています。
そうすることで、より正確なその人の眼圧値と前回からの値の変化を知ることができるためです。
あのプシュッと風があたる検査機械について
こちらです。
名前はノンコンタクトノメーター。
あれ?前回の気球が見える検査の機械と同じじゃん!!!
と思ったあなた!!!
そう、同じです。
正確には、この機械はレフ・ノンコンタクトノメーター。
株式会社ニデックさんが発売している一体型なのです。
ただし、一体型でないものも多いです。
(私の病院はたまたま一体型を使用しています・・・最近では検査室をコンパクトにするため一体型の商品が多く初内されているらしいです。私としては、一体型で性能も変わらないのであれば患者さんの移動の手間も省けますし一体型が便利でいいな~と思っています)
眼圧を測定する検査の中で一番使用されている機械です。
角膜の前面に置かれた噴射口から、ごく短時間に空気が発射され、一定面積の一定面積の角膜を圧平するのに要する時間から眼圧を換算します。
ノンコンタクトノメーターは非接触型のため、直接目に触れることなく眼圧を測定することができます。表面麻酔もありません。
そのため、手軽でかつ短時間で眼圧測定ができるようになっています。
この検査をする際、何回も風をあてられたことはありませんか?
眼圧は、値に変動があるため、通常は3回くらい測定し、平均値を求めるようになっています。
よく何回か風をあてると患者さんから
『この検査苦手なの~。何回も撮らせてしまってごめんなさいね』
と言われることがあるのですが、
撮影できていないのではなく、平均をとるために3~4回意図的に撮影しています。
なので、撮影できてないわけではないですよ~☆
(優しい人ほどこんな風に声をかけてくださるのでたまに申し訳なくなります(笑))
何故空気をあてるの?
この機械には、角膜に光を当てる投光部と、その光を受ける受光部があります。
はじめは投光部から光が出ますが、角膜の形状によっては乱反射し、受光部に光がうまく入っていきません。そこで角膜に空気をあててへこませ、圧平します。
そうすることで光が受光部にうまく集まるようになり、この空気圧を換算することで眼圧値を出すことができます。
ちなみにこの機械は角膜曲率、角膜厚、眼球壁伸展性などの影響を受けるため、難点として、低眼圧では眼圧が低めに、高眼圧ではより高めに出やすいと言われています。検査が短時間で行えるので、スクリーニングには適していますが、緑内障の患者さんには圧平眼圧計(次の項目で紹介します)の方がより正確なデータが出せますので、緑内障患者さんの場合には圧平眼圧計にて再確認が必要となる場合が多いです。
レーシックの術後は正確な値が出せない
レーシック手術後(角膜矯正手術後)は、角膜厚が著しく薄い状態のため、ノンコンタクトノメーターでは正しい眼圧値を測定することができません。(この機械は角膜曲率、角膜厚、眼球壁伸展性などの影響を受けるため)
その場合は、診察室にて測定します。
風をあてなくても眼圧を測定する方法がある?
風があたる機械はどうしても苦手!!!という方、
ノンコンタクトノメーターの機械を使用しなくても眼圧を測定する方法があります。
・圧平眼圧計
角膜に平らな平面を押し付け、それに必要な力から眼圧を換算する方法です。
これは現時点で最も眼圧を正確に測定できる方法として知られています。
私の勤務する病院では、中期以降の緑内障患者さんの場合、ノンコンタクトノメーターと圧平眼圧計の両方で眼圧値を毎回測定しています。
主に診察室にてドクターが検査を実施します。
診察台に座ったまま検査できます。
・トノペン(電気式圧平眼圧計)
写真のようにペンタイプになっています。
角膜に平らな平面を押し付け、それに必要な力から眼圧を換算する機械です。
ノンコンタクトノメーターが使用できない患者さん(椅子に座ることができない寝たきりの患者さんや椅子のお堂が難しい人)に対して使用することが多いです。
目に表面麻酔の目薬をさし、眼圧計の先端部を角膜に接触させます。
ペン先をまっすぐ軽くちょんちょん角膜に充てることで眼圧が測定できます。
病院によって、置いてあるところとないところがあります。
測定に必要な角膜面積が少なくて済むため、不整な角膜や瞼裂が狭い目の人にも有効です。
この他にも、圧入眼圧計やトノグラフィといった測定方法がありますが、
上記に紹介した3つの検査方法が一般的です。
上手に検査されるコツ
①瞬きは自然に行う
強い瞬きをすると、目に力が入り、眼圧が高く出てしまいます。
空気があたるのが怖くてつい瞬きが多くなってしまいがちなのですが、
なるべく瞬きは自然に行うのが良いです。
②顎とおでこを機械にぴったりつける
検査の際、顎とおでこをぴったりくっつけるように言われると思うんですが、無意識におでこや顎がだんだんと離れてしまう人がいます。
測定距離が変わると、データはばらついたり、エラーになって撮影できないので、なるべく顎とおでこを機会にぴったりくっつけるように意識しましょう。
(前回紹介の気球の検査と同じです^^)
③口は軽く閉じる
集中していると、なぜかお口がポカーンと開いてしまう人がいます。不思議なんですが、大人でも結構いるんです。
ただ、検査の際に口が開いていると測定の際高さが変わり、うまくデータを測定することができません。難しいかもしれませんが、口は軽く閉じるよう意識してみてください。
(これも前回紹介の気球の検査と同じです^^)
⑤姿勢を正す
検査時、姿勢が悪く頭位が低くなると、眼圧が変動することがあります。
眼圧は、体位によって変動するので、できるだけ姿勢を正して検査を受けるのがポイントです。(姿勢がいい人が大半かとは思いますが・・・)
⑥呼吸を止めない
呼吸を止めると、眼圧が高く出ます。
そのため、眼圧検査時は呼吸を止めず、いつも通りのを心がけてください。
眼圧検査では、特に①と⑤⑥に気を付けるとスムーズです。
うまく測れないと、10回とか測定されてしまうこともあり、
大変なので、眼圧検査が苦手な方、ぜひ次回検査の際には試してみてください。
【参考文献】
・視能学 第2版 文光堂 丸尾敏夫ら P216~219
・視能矯正学 改訂第2版増補 金原出版 丸尾敏夫、栗屋 忍 P48~50
・眼科ケア 2016 4月号 MCメディカ出版 P42~43
終わりに
私自身、眼圧検査は苦手です(笑)
なので、検査されるときは上記に記載のポイントを意識して検査を受けるように心がけています。
あと、もしどうしても苦手な場合には、診察室でも測れるので、無理しなくて大丈夫だと思います。
検査時に、『この検査は苦手なので診察室の圧平眼圧計で測ってもらえませんか?』といえば診察室でも測定してもらえます。
実際、苦手なので毎回診察室で測る患者さんも、私の勤務する病院では結構いらっしゃいます。(ただ、その場合表面麻酔の点眼があるのでそれが嫌な場合は空気の検査を頑張りましょう^^ちょっとしみるのと、麻酔でボヤっとした感じが15分程度続きます。)
以上、眼圧検査についてでした。
今日少し触れたのですが、今後緑内障の記事も書きたいなぁと思ってます。
いろいろ書きたいことがあるのでまた育児記事と織り交ぜて書いていけたらと思います。
今日はちょっと長くなってしまったのですが、
最後までお付き合いいただき、本当に有難うございました。
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