視能訓練士でワーキングマザーのぱんだこ(id:hareruyatan)です(*´▽`*)
皆さん、ここ2~3年ほどで、『色覚検査』で眼科外来を受診される患者さんが増えているのをご存知ですか?
今日は、その理由と知ってほしい色覚異常についてまとめました。
色覚異常について知りたい方の参考になれば幸いです。
今、色覚検査が増えている!!
最近、眼科外来に色覚異常を疑われて受診する子供が急激に増えています。
実は、日本では2003年から、小、中、高等学校の定期健康診断の必須項目から色覚検査が外されていました。
任意での検査はできるとされていましたが、実際にはほとんど行われなくなっていました。
しかし、先天色覚異常は生来の異常であるため自覚することが少なく、周囲にもなかなか気づかれません。
そのため、自分が色覚異常であると知らずに成長し、学校生活や就業中に不測の不利益や誤解が生じたり、就職時に突然進路を絶たれるという事例が増えてきました。
そこで、事態を憂慮した眼科医などが各方面に働きかけ、文部科学書などの指導により、2016年より学校で色覚検査が積極的に行われるようになりました。
この頃から、全国で希望者に色覚検査を行う学校が徐々に増え、
現在ではほぼすべての学校で色覚検査を行っているため、その結果眼科を受診する子供が急増しました。
色の見え方には個人差がある
個人個人、顔や考え方が異なるように、色の見え方もみんな同じではなく、個人差があります。
その個人差が大多数の人と比べて大きく、色覚の検査で異なった結果を示す人は、医学的に「色覚異常」と診断されます。
つまり「色覚異常」とは、色覚の個人差を表す医学的名称と言えます。
通常、先天性の色覚異常というと「先天性赤緑色覚異常」をさしています。
この場合、色の見え方や感じ方は正常色覚と異なりますが、白黒の色世界では決してありません。
ただ、正常色覚者とは異なった色世界を感受しているといえます。
先天性赤緑色覚異常の人はどんな風に見える?
物を見ること自体は他の人と変わりませんが、色の組み合わせによって時々似て見えることがあります。
似かよって見える色の組み合わせには、
赤と緑、橙と黄色、茶色と緑、青と紫、ピンクと白や灰色、緑と灰色や黒、赤と黒、ピンクと水色などがあります。
男性の20人に1人は先天性赤緑色覚異常
先天性赤緑色覚異常の発生頻度は、日本人では男性の5%、女性の0,2%です。
つまり男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合です。
決してまれなものではありません。
女性の場合には、色覚は正常であっても、保因者といって先天性赤緑色覚異常の遺伝子をもっていることがあります。
保因者の頻度は10%、10人に1人です。
色覚異常は治る?
現在のところ、科学的に根拠のある有効な治療法は残念ながらありません。
治せない先天性色覚異常ではありますが、多くの場合、日常生活に困ることはなく、学校や社会でもみんなが見やすい色環境について見直しが行われています。
先天性色覚異常は、悪化することはありません。
運転免許は取得できる?
普通自動車1種免許の取得は可能です。
現行の基準では「赤色、青色、および黄色の識別ができること」となっていますが、ほとんどの方が取得されています。
職業選択で制限がある?
職業選択にあたっては、本人の意思を尊重し、いたずらに職種を制限しないことが原則です。
ただし、飛行機のパイロット、自衛官、警察官などは、色覚により制限を受ける場合があります。
2019年現在、制限は緩和に向けて見直しが行われています。
日常生活で注意することは?
色を間違えやすい条件として
◇暗い環境下
◇小さい対象物
◇鮮明でない色
の3つが挙げられます。
たとえばタンスに吊られている洋服を選ぶ場合、ハンガーとハンガーとの間からでは、見える面積も小さく、暗いので1着ずつ取り出して明るい環境下でゆっくり確認させることが大切です。
冷蔵庫や戸棚なども、暗いと色を間違えやすいので、取り出して確認させるようアドバイスしましょう。
台所やお風呂場などの薄暗いところでは、不都合があれば証明を明るくしましょう。
箸、タオル、歯ブラシなどは、異なった手触り、かたち、模様などの色以外の情報で見分けられるようにしましょう。
色覚異常の検査
色覚異常の検査には主に3種類あります。
①仮性同色表
色覚異常があるかないかを調べる検査です。
学校検診等や健康診断等でもよく利用されています。
②パネルD-15
15色の色票を色が似ている順に並べる検査です。
色覚異常が、軽度か中等度以上かを調べることができます。
①、②は、どこの眼科診療所にもおいてある検査機器なので、心配な方はお近くの眼科診療所にて検査してみることをおすすめします。
検査時間も20分ほどで終わる検査です。
③アノマロスコープ
色覚異常の型を確定診断するために必要な検査です。
仮性同色表やパネルD-15とは異なり、光源色を用いた機器であり、特定の色光を用いて上半分と下半分の色合わせ(等色)を行うことで診断します。
③は検査機器がおいてない施設も多いため、確定診断を希望の場合には事前に受診予定の眼科へ確認が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
色の見え方には個人差があって、人それぞれ見え方が異なります。
色覚異常についてはまだまだ知られていないことが多いので、記事にまとめてみました。
最後までお読みいただき有難うございました。
参考資料
眼科ケア VOL20 no3 「色覚検査とケアの実際」
日本眼科学会ホームページ
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